Kanadead or alive

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現代語解説:大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜

ファンタジー小説を今書いています。
おそらく超大作なので、すぐにはできないです。楽しんで書いています。何で発表するかは未定。出版社のコンテストに出すか、いろんな人に読んでもらって校正を自分でして電子書籍やHPで発表するかは全く未定。
でも今まで書いてきた物の中で序盤の現時点で一番の文字数なので気長に飽きないように取り組みます。

そこでふと思ったんですが、連絡手段に当たり前のように手紙や人伝えを使用しながら物語を進めているんですよね。
ライトノベルのようなものは勉強不足で知りませんが、昔の古典ファンタジーではもちろん現代ファンタジーで尚且つ人間と魔法使いの世界が分かれているハリーポッターシリーズですらフクロウを使って手紙を届けてるんですよね。ハリーのここ一番のピンチの時ですらダンブルドアにふくろう便を届けている。おいおい、いくら一年生だからってもうちょっとそういう呪文とかないのかと思っていたら7冊通しても出てきませんでした。
でも今我々が何かを伝えたい時、メールで伝えますよね。一瞬です。
魔法より便利じゃないですか。挙句LINEなんか相手が自分の送ったメッセージを読んだかどうかまで教えてくれる。
幼児むけのアニメをファンタジーにするのであればメールや携帯電話みたいなのは出てきますが古典的なファンタジーにはそぐわないのかそれに代用する物もあまり出てきません。
あれだけ色々な魔法やおまじない、ルールや世界観を作り出した人たちが考えつかなかったのではなく、きっと世界観にそぐわないと思って登場させないのでしょう。星を使って相手に伝える方がロマンがあると。
そういう意味では現代はファンタジーの世界を超えた世界なのだと思います。

さて、前置きが長くなりましたがちょっと昔の曲の恋愛事情には手紙という連絡手段は必要不可欠でした。現代ではメールやLINEが必要不可欠です。実際の生活の恋愛でも少しでも相手と連絡が取れないと不安になる人が多いかと思います。
そんなちょっと昔の恋の歌で大好きな曲があります。
爆風スランプの『大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜』という曲。
この曲は文通相手と初めて会うのに武道館でのコンサートで待ち合わせをするんだけど、相手はこない、寂しくコンサートを見たという簡単な歌なんですが現代ではありえないシチュエーションです。なんなら現代の子に聞かせてもきっと意味不明です。
実際27歳の自分にとっても手紙という物はそんなに思い出があるわけでもなく、この曲と自分の思い出を照らしあわせる事はできません。実際好きなバンドつながり等の趣味のペンフレンドは居ましたが、そんなのは一瞬ですぐにメールになった世代なので特に思い出はありません。
でもいい曲なんで、古臭い曲だとするには勿体ないので少し現代語訳をして伝えたいと思います。
手紙や待ち合わせをモチーフにした曲で好きな曲はもっともっとあるんですが、なんとなくこの曲が少ない言葉で一瞬や心境をとても素敵に表現していると思うのでこの曲にしました。

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大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い〜 作詞:サンプラザ中野  

 

ペンフレンドの二人の恋は

つのるほどに 悲しくなるのが必然

また青いインクが 涙でにじむ せつなく

 言葉を交わすだけの手紙では、会いたいと伝えるのですら数日かかります。その数日はとてもとてももどかしい物でお互いの想いもつのらせます。

若すぎるから 遠すぎるから

会えないから 会いたくなるのは必然

貯金箱こわして 君に送ったチケット

何歳ぐらいの設定なのかわかりませんが、貯金箱をこわしてチケットを送るほど若いということがわかります。中学生なのか高校生なのか。チケットをとって前もって手紙で送っているのでしょう。
だけど二人には年齢というものよりも距離という物理的な問題があるがこの節でわかります。

定期入れの中のフォトグラフ

笑顔は動かないけど

あの大きな玉ねぎの下で

初めて君と会える

この節で一度も会ったことがなく、お互いの写真を送りあっただけの関係だとわかります。
動かない笑顔の写真を定期入れに入れて過ごす。きっと一番可愛く写っている写真を送ったことでしょう。定期入れって割とみんな持ってるのにあんまり見せ合うものではないですね。でも必ず持ち歩くので好きな人(アイドルとかも含めて)の写真を隠すのにうってつけなんですよね。
でも今だったらピッてタッチするし急いでるときとか叩きつけちゃうので入れられないかもしれません。
そもそも、今はスマホのカメラがとっても優秀なので、端末に画像を簡単に保存できて隠し持つことができるので、定期入れに写真を隠す必要もありません。そして写真じゃなくて最近は動画のやり取りが増えました。可愛い写真もアプリで簡単に撮れるようになりました。
そういえば定期もスマホのアプリで済むからそもそも定期入れも持たないかもしれませんね。

玉ねぎとはなにか。それは次の節でわかります。

九段下の駅をおりて 坂道を

人の流れ 追い越して行けば

黄昏時 雲は赤く流れ落ちて

屋根の上に光る玉ねぎ

九段下という地名で、タイトルにも出てくる玉ねぎってのは日本武道館のことだということがわかりました。

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ここの

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これを玉ねぎって呼んだのは作詞のサンプラザ中野くん氏が先なのかもともと呼ばれていたのかは知りませんので誰か教えてください。
でも玉ねぎ以外の何物でもないですね。
武道館のある地下鉄九段下駅の武道館への最寄りの出入り口はいずれも坂道の途中にあります。コンサート前あの坂をのぼるのは、とても楽しい瞬間です。
コンサートの開場時間の近辺になるとその坂をみんなでワイワイ登ります。あれだけ人の入る開場ですから、それはそれはすごい人です。
でもみんな楽しそうで、週末開催であれば開演・会場時間は17時〜18時でしょうか。天気がよければちょうど黄昏時の空が綺麗な時間です。

ペンフレンドの二人の恋は

言葉だけが 頼みの綱だね

何度もロビーに出てみたよ 君の姿を捜して

二人の間には文字だけしかありません。
相手に問いかけた言葉への相手からの返事、自分の書いた返事しか頼れるものがないのです。
今だったら「まだ着かないの?もう席にいるよ」だなんて現状を相手に伝えるのは簡単です。また、時間が迫っていれば電話をかけることもできます。「電車が止まってる」等と現状を伝えるのは簡単です。自分の今の思いを伝えるのに時間はかかりません。

アナウンスの声に はじかれて

興奮が波のように 広がるから

君がいないから 僕だけ 寂しくて

開演を告げるアナウンスは、楽しみなコンサートまでの長い長い待ち時間をあっという間に終わらせて最高の瞬間に変えてくれます。
時間がきたのに返事のあった彼女はこない。周りの興奮は寂しさを大きくさせることでしょう。

君の返事 読み返して 席を立つ

そんなことをただ繰り返して

時計だけが何も言わず 回るのさ

君のための 席が冷たい

きっと行くとお返事にあったのでしょう。彼は彼女が来るまで何度も彼女のことを探すのです。返事があったという事は、チケットも無事届いているはずです。
時計は無情にも、どんどん時を進めます。針が進むごとに会場は熱くなるのに、彼女のための席は冷たいままです。

アンコールの拍手の中 飛び出した

僕は一人 涙を浮かべて

千鳥ヶ淵 月の水面 振り向けば

澄んだ空に光る玉ねぎ

 アンコールの拍手が響くということは、コンサートの本編が終わってしまったということでしょう。
一時間半、二時間も経てば黄昏ていた外も暗く、月が輝く時間になっています。
武道館は千鳥ヶ淵に囲まれています。九段下駅への道に続く正門は橋になっていて、千鳥ヶ淵を渡らなければ敷地の外へは出れません。そんな千鳥ヶ淵は、とてもとても寂しいでしょう。

九段下の駅へ向かう人の波

僕は一人 涙を浮かべて

千鳥ヶ淵 月の水面 振り向けば

澄んだ空に光る玉ねぎ

コンサートも終わり、それぞれ感想を述べながら満足の顔でみんな九段下の駅へ向かいます。
とても楽しみにしていた時間が終わってしまう瞬間でもあるのでとても寂しい帰り道でもあるのですが、それもいい思い出になる道です。
彼にとっては、もっともっと悲しい終演の時だったと思います。
どうして彼女かこなかったのか理由もわからず、楽しかったねと言っている人たちに囲まれて九段下の駅へ向かわなければならないのですから。

実際現代に置き換えてみれば、彼女がこないのも当たり前かもしれません。
SNSで人と知り合って二ヶ月で9人殺した、だなんて魔法使いもびっくりなことをいい出す人間が現れる現代ですから、貯金箱を壊さなければならない程の年齢の子がペンフレンド、それも写真でしか顔を知らない会ったことのない異性と会うだなんてもし自分が親だったら行かせないでしょう。
行けないことを彼に伝えられなかったということは、出かけてしまったら何が起こっているか両親にもすぐに伝えられないということでもあります。
ましてや距離の問題もあった二人ですから、問題はもっと深刻です。

こうやってみるとちょっと数十年前の歌詞も、体験していない自分にとってはファンタジーの世界ですね。もしかしたら体験している世代の人にとってももう戻れない世界なのでファンタジーの世界かもしれません。この曲は1989年発売の曲なのでそんなに昔の曲ではありません。
今だったら待ち合わせ場所に向かえない旨を伝えるのはとても簡単です。当日にでも家を出る直前にでも「両親に止められて行けない」って伝えるのは簡単です。そう伝えていれば、この歌詞の彼はもう少し違う思いでコンサートを見ることができたのかもしれませんし、もしかしたらコンサートに行かないという選択肢もあったかもしれません。
でも当時はできなかったから、こういう物語が生まれたわけです。

そう考えると、魔法が使えたり動物としゃべることができる設定のファンタジーの世界で、電子メールやインターネットを登場させないのは必然なのかもしれません。
魔法よりも便利な物を手に入れてしまっては、魔法なんか必要なくなってしまいます。わざわざファンタジーを読む必要がありません。

でも電子メールやチャット・携帯電話っていう便利な魔法よりも、鼻をこすったら部屋が綺麗になる魔法の方が私は欲しいです。
いつまでたってもファンタジーの世界で生きているので余計です。